『Web of Spider-Man #70』(1990年11月号)
スパイダーマンはハルクとの死闘の4~5時間後、例の「エネルギー吸収装置」を腕に抱え、ニューヨークへ向かう列車の屋根にしがみ付いていた。
しかしスパイダーマンは非常に頭がぼんやりしている状態で、自分がなぜコネチカットへ行ったのかさえ記憶が曖昧であった。
記憶の断片に残っているのは、取材に向かった“謎の野獣”の正体がハルクであり、「エネルギー吸収装置」により衝撃を与えられて、“死んでいる男”(アーマンド・ジョーンズ)を置き去りにしたことをわずかに思い出すのみであった。
そう、取材を供にしたベティ・ブラントのことなどは完全に忘れ去っていたのだ。
列車はグランドセントラル駅に到着した。
スパイダーマンはピーター・パーカーの姿に戻り、「エネルギー吸収装置」をコインロッカーに隠した。
そして、ピーターはタクシーに乗る。
30分後ピーターはデイリービューグルに着く。
ピーターは編集長のジェイムソンにフィルムを渡す。(自動撮影機能付のカメラでハルクの写真は何枚か撮っていた)
しかし、言うまでもなく取材は中途半端であった。ジェイムソンはピーターの無責任さを責め、おまけに置いてきぼりをくらったベティからも激しい叱責を受ける。
ピーターはストレスを感じ、激しい頭痛に襲われる。
外に出るとピーターは屋上でスパイダーマンに変わった。
スパイダーセンスが何かの危険を感じ取っているのだが、ぼんやりしていて伝わらない。
二人の警備員が近づいていたのだ。
警備員はスパイダーマンに銃を向けた。
この警備員のとった行動により、スパイダーマンの“ストレス”は頂点に達した。彼の身体はみるみる大きくなり、破れ裂けたコスチュームから見える皮膚はハルクのような緑色をしていた。
"SPIDER SMASH !"
そう叫ぶスパイダーマンには知性の欠片も無くなっていた。
スパイダーハルクになったのだ!!
スパイダーハルクは警備員の放った弾丸を簡単にはね返した。
足の筋力が増強したスパイダーハルクは移動手段にウェブを使わない(忘れた)。彼はその筋力のみで遠くに跳ねる。
ところが橋の下に落ちたところで彼は意識を失った。そして通常の状態に戻った。
ホームレスたちにより介抱されたスパイダーマンは、ハルクとの戦いの最中に死んでいたあの男が「エネルギー吸収装置」の発明者で、それを知る唯一の方法はベティ・ロスに彼のことを聞き出すしかない、と漠然と感じたのであった。
30分後、ピーターはベティ・ロスの元を訪れた。
ベティはピーターの態度を訝しがっていたが、何とかアーマンド・ジョーンズのアドレスを入手することに成功した。
ピーターはスパイダーマンとなり、アーマンドの研究室に急行した。
彼が欲しがる「エネルギー吸収装置」に関するマニュアル本は机の上にあった。
盗難警報機が鳴り、スパイダーハルクになりかけたが直ぐに離れたため難を逃れた。
マニュアル本を読みスパイダーマンは、「エネルギー吸収装置」によりハルクの能力が自分に伝わったこと、またそれを解除するには装置にその能力を再び返すしかないと理解する。
スパイダーマンは装置を隠しておいたグランドセントラル駅に向かった。
しかしその頃、若い二人組のギャングによって駅のロッカーが荒らされていた。「エネルギー吸収装置」も奪われてしまった。
スパイダーマンが駅に到着したのはそのわずか数十秒後であった。ロッカーを見て装置が盗まれたことを察した時、スパイダーマンは気が狂うほどの怒りを感じた。激怒をロッカーに八つ当たりし、再びスパイダーハルクへと変化し始める。
若いギャングを追うスパイダーハルクに警官が発砲するが通じない。怒ったスパイダーハルクは拳で床を叩き割り報復する。さらにウェブで駅の巨大な時計を落とし破壊した。
そしてスパイダーハルクはとうとう「エネルギー吸収装置」を盗んだ若いギャングたちを見つけ出した。
スパイダーハルクは彼等に飛び掛ろうとした時、装置に触れる。と、その時ハルクのエネルギーは装置に引き戻され、スパイダーマンはノーマルな状態に変化していった。そして彼は忌わしい「エネルギー吸収装置」を叩き壊した。
何とかスパイダーマンに戻ったが、現場は警官に包囲された状況で、この場には居るべきでないと感じ取ったスパイダーマンはウェブを天井に伸ばしガラスを破り去っていった。
外に出てビルの壁に張り付くスパイダーマン。時刻はもう真夜中だ。
ふと左手の方を見るとそこにはデイリービュグルの建てた看板があった。
たくさんのウサギたちの中にいるスパイダーマンは「ニューヨークの最もかわいいスーパーヒーロー」として、“かわいいスパイダーマン”にイメージチェンジを図ろうとしたものであった。
しかし今回の事件によりそれは台無しに終わったのだった。
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前後編にわたってお届けした「スパイダーハルク」いかがだったでしょうか。
個人的には短編ながら話の内容もしっかりとしていて非常に面白かったです。
また絵の方も現在のような日本のアニメ風ではなく、いかにも「アメコミ」といった感じでこの頃の絵は無条件に大好きです。
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